残業問題
残業代未払いの問題点
昨今の不況において、様々な労働問題が生じていますが、その中でも残業代の未払い問題が急増しています。いわゆるサービス残業と称して、違法な状態が生じています。
使用者は、労使協定をし、それを労基署に届け出た場合などには、労基法32条の法定労働時間を超える時間外労働を行わせることができます。しかし、その時間外労働に対しては、基礎賃金の25%以上の割増賃金を支払わなければなりません(労基法37条)。これがいわゆる残業代です。
残業代の未払いは、労働基準法違反の違法行為です。
時間外労働 | 一時間当たりの賃金 × 時間外労働時間数 × 1.25 |
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深夜残業 | 一時間当たりの賃金 × 時間外労働時間数 × 1.25 |
深夜残業+時間外労働 | 一時間当たりの賃金 × 時間外労働時間数 × 1.5 |
休日残業 | 一時間当たりの賃金 × 時間外労働時間数 × 1.35 |
残業代未払の対応方法
証拠の収集
残業代未払いの事実を証明するための資料を収集しなければなりません。重要な証拠としてはタイムカードやIDカードがあげられます。他には、給与明細、時刻記載のある業務日報、労働者本人が作成したメモなども証拠となりえます。就業規則,賃金規定等も利用できます。
会社との交渉
証拠を集めて未払い残業代を計算したら、最初に会社に対して未払い残業代の支払を請求します。
会社が支払いに応じない場合は、労働基準監督署に申告すると良いです。前記の通り残業代未払いは労働基準法違反であり、この違反に対しては、30万円以下の罰金を科すことができる旨定められています(120条1号)。労働基準監督署は労働者の申告を受けて、会社に対し調査を行います。その結果残業代未払いの事実が明らかになると、労働基準監督署は会社に対し勧告をします。会社は公的機関の勧告によって支払いに応じることもあります。
裁判
これまでの手続きで解決しない場合には、裁判所を利用することになります。
そのための手続きとして労働審判があります。これによれば短期間で紛争が解決できる可能性があります。
他には簡易裁判所での少額訴訟があります。少額訴訟は、原則、1回の審理のみで判決が下される簡易迅速な裁判手続です。ただ、注意が必要です。すなわち、期日までに充分な証拠を準備しなければならず、提出できる証拠の種類も制限されています。
なお、裁判所に対し、割増賃金の未払い額と同額の付加金の請求をすべきです。
弁護士に依頼した場合
弁護士が代理人として、証拠収集や会社との交渉を行います。
弁護士が証拠を揃えて法的根拠を明確にして会社に対し請求をした場合,それまで労働者の交渉を無視していた会社側が態度を豹変して、交渉に応じ支払をしてくることもあります。
弁護士が代理人として、裁判を提起します。
会社側が交渉に応じない場合は、裁判所に訴えを提起して解決を図ります。
ご相談者の事情にもっとも適した裁判手続を選択し、迅速にご相談者の権利の実現を図ります。
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