わが国の刑事訴訟法において、刑事事件の処分については、検察官に公訴権が独占されています。検察官に独占的に起訴するかしないかの権限、裁量が認められています。検察官の処分の内容としては、一般的に公訴提起、略式命令請求、不起訴処分があげられます。
公訴提起は、検察官が裁判所に公判を請求する手続きです。いわゆる「起訴」です。これは、懲役刑の処分を念頭においたものです。
略式命令請求は、簡易裁判所に簡略な手続きを請求する手続きです(刑訴461条)。これは罰金又は科料の処分を念頭においたものです。
不起訴処分とは、一定の理由から、被疑者の起訴をしない手続きです。その理由として、一般的には、犯罪の証明ができないための処分として嫌疑不十分と被疑者に一定の情状が認められ今回に限り処分を猶予するための処分として起訴猶予があります。
なお、例外的な処分として、事案が極めて軽微で処罰を必要としないと判断した場合、微罪処分として警察から検察庁への送検を猶予する手続きがなされることもあります(刑訴246条但し書き、犯罪捜査規範214条)。 適正で、迅速な事件処理のため、一部の軽微な事案については検察官が司法警察職員に対してその権限を事前に指定し委任していると考えられています。